省エネかつ環境に配慮した給湯器として、エコキュートとエコジョーズの2つが候補にあがります。それぞれの違いやメリット・デメリットは一体どのようなものでしょうか。本記事では、エコキュートとエコジョーズそれぞれの特性に着目し、違いを解説します。本記事の内容が、給湯器の買い替えを検討する人の助けになれば幸いです。
エコキュートとエコジョーズの比較
エコキュートとエコジョーズは、どちらも省エネ性能が高い給湯器ですが、その仕組みは大きく異なります。エコキュートは電気を利用し、空気中の熱を活用してお湯を作るシステムです。一方、エコジョーズはガスを使用し、排熱を有効活用してお湯を生成します。
エコキュートの仕組み
エコキュートは「電気+空気中の熱」を利用してお湯を温めます。具体的には、周囲の空気中の熱を集めて冷媒に伝え、その冷媒をヒートポンプで圧縮して高温にします。
この高温になった冷媒の熱を熱交換器を通じて水に伝えることで、お湯を生成するのです。このプロセスでは、電気は主にヒートポンプを動かすために使われます。そのため消費電力は少なく、従来の電気温水器に比べて約1/3の消費電力で済みます。
エコジョーズの仕組み
一方、エコジョーズの給湯では「ガス+排熱」を利用します。これまでのガス給湯器では無駄になっていた約200度の排熱を水の予備加熱に利用し、その温められた水をガスバーナーでさらに加熱することでお湯を作ります。これにより、少ないガスで効率的にお湯を生成できます。
初期費用の比較
初期費用に関しては、エコキュートとエコジョーズの価格は異なります。エコキュートは本体価格が30万円から60万円、工事費が10万円から15万円で、合計約45万円から75万円がかかります。
エコジョーズは本体価格が20万円から50万円、工事費が約5万円で、合計約25万円から55万円です。比較すると、エコジョーズのほうが初期費用が安価なのがわかります。
ランニングコスト
ランニングコストを比較すると、エコキュートの方がエコジョーズよりも光熱費が安くなります。初期費用はエコキュートの方が高額ですが、平均的な年間の電気使用量とガス使用量を比較すると、エコキュートの方がコストパフォーマンスが優れています。
エコキュートは初期費用が高いものの、長期的に見るとトータルコストではエコキュートの方が経済的です。
エコキュートのメリット・デメリット
エコキュートのメリットとデメリットについて、さらに掘り下げて紹介します。
エコキュートのメリット
まず、エコキュートのメリットについてです。エコキュートは夜間にお湯をまとめてわかす「貯湯式」を採用しています。これにより、電力消費のピークである昼間に比べて割安な夜間の電気料金プランを利用できます。
とくに、夜間の電力料金が安いプランを選ぶことで、ランニングコストを大幅に抑えられます。また、貯湯タンク内の湯水は非常時にも活用できます。停電や断水などの緊急時には、手動で貯湯タンクからお湯や水を取り出せるため安心です。
煮沸すれば飲み水としても利用できるため、防災対策としても優れています。さらに、エコキュートは火を使わないため、安全性が高い点も大きなメリットです。火災のリスクがなく、不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配もありません。
とくに、家庭内の安全を重視する方には魅力的な選択肢となります。加えて、エコキュートは空気中の熱を利用してお湯を作るシステムであり、温暖な地域ほど熱交換効率が高くなります。
たとえば、九州のような暖かい地域ではとくに効率的です。このため、暖かい地域に住む方にはとくに適しています。
エコキュートのデメリット
一方、エコキュートにはいくつかのデメリットもあります。まず、初期費用が高額です。エコキュートは高度な技術を使用しており、その仕組みは複雑であるため、本体価格が高めになっています。
とくに、構造がシンプルなエコジョーズと比較すると、初期費用の負担は大きくなります。しかし、長期間使用することで、ランニングコストの節約により初期費用の差額を回収できる点は覚えておきたいポイントです。
もうひとつのデメリットは、設置スペースがある程度必要なことです。エコキュートは「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」の2つのユニットで構成されており、これらを設置するためのスペースが必要になります。とくに、都市部の狭小地やスペースが限られた住宅では、設置場所の確保が難しい場合があるでしょう。
エコジョーズのメリット・デメリット
最後に、エコジョーズのメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
エコジョーズのメリット
まず、エコジョーズのメリットです。最大のメリットは、初期費用が安いことです。エコジョーズは比較的シンプルな構造のため、本体価格がエコキュートよりも手頃です。また、エコジョーズは「瞬間式」を採用しており、使う時に使う分だけお湯をわかします。
時間帯や回数を気にせずにお湯を使えるのは大きな利点です。さらに、エコジョーズは省スペースで設置できます。瞬間式のため貯湯タンクが不要であり、設置場所を比較的柔軟に選べるでしょう。また、エコジョーズでわかしたお湯は貯湯タンクを経由しないためいつでも新鮮なお湯が利用可能です。
エコジョーズのデメリット
一方、エコジョーズにはいくつかのデメリットもあります。まず、ランニングコストが高い点です。エコジョーズはエコキュートのように電気料金が安い時間帯にお湯をわかせないので、ランニングコストが高くなる傾向があります。
とくに、プロパンガスを使用する場合は単価が高いため、光熱費が高くなりがちです。また、エコジョーズの排気ガスには酸性成分が含まれており、これが原因で周囲の金属が腐食するリスクがあります。
隣の家との距離が近い場合には、とくに注意が必要です。最後に、ガス管工事費用が高い点もデメリットです。新規で都市ガスを引き込むには自己負担で多額の工事費用が必要です。
最初から都市ガスを使用している家庭は問題ありませんが、エコジョーズのために新規に都市ガスを引き込む場合は、慎重に考える必要があります。
まとめ
エコキュートとエコジョーズは、いずれも省エネ性能が高い給湯器ですが、仕組みや特徴は異なります。エコキュートは電気と空気中の熱を利用してお湯を作り、ランニングコストが安く、非常時に貯湯タンクの湯水が使えるのがメリットになります。一方、エコジョーズはガスと排熱を活用し、初期費用が安く、省スペースで設置できる点が魅力です。ただし、エコジョーズはランニングコストが高く、排気ガスによる腐食リスクがある点に注意が必要です。給湯器選びには、それぞれのメリット・デメリットを考慮し、長期的なコストパフォーマンスも重視しましょう。