エコキュートは、電気代の節約や環境の保全に寄与する給湯設備です。しかし、エコキュート選びは慎重に行わないと、後悔につながるかもしれません。そこで今回は、エコキュートの選び方や、設置のメリットとデメリットについて解説します。これからエコキュートを自宅に設置したいと考えている人の参考になれば幸いです。
エコキュートの選び方
エコキュートを選ぶ際には、単に費用だけでなく、機能性やサイズ、容量なども重要なポイントです。
以下に、エコキュート選びのポイントを詳しく説明します。
エコキュートの機能性
エコキュートにはさまざまな機能が搭載されているので、自分のライフスタイルに合ったタイプを選ぶことが大切です。基本的なタイプには、給湯タイプ、オートタイプ、フルオートタイプがあげられます。
給湯タイプは手動でお湯を張るタイプで、費用を抑えたい人におすすめです。
オートタイプは、お湯はりやたし湯を自動で行ってくれるため、簡単な操作を求める人に向いています。
フルオートタイプは、給湯に関するすべてを自動制御してくれるため、大家族の場合や手間を減らしたい人におすすめです。
貯湯タンクの容量
エコキュートの選定においては、貯湯タンクの容量も重要な要素です。貯湯タンクは、お湯を貯めておくためのもので、家族の人数や使用頻度に応じて適切な容量を選ぶ必要があります。
目安としては、1〜2人暮らしなら約180L、2〜4人暮らしなら約300L、それ以上なら400L以上のタンク容量が必要です。
ただし、これらの容量は目安であり、実際には家族の生活スタイルやお湯の使用量によって異なります。施工業者と相談し、自分たちに合った容量を選びましょう。
サイズ
エコキュートの設置に際しては、貯湯タンクとヒートポンプユニットのサイズと設置スペースの確認も重要です。エコキュートは比較的小型でも設置に一定のスペースを必要とします。
具体的なサイズは、貯水タンクは幅約1m、奥行き約3mが必要です。そして、ヒートポンプユニットの設置には、幅と奥行きがそれぞれ約50cm必要になります。設置スペースの確認は、専門の担当者による現地調査を推奨します。
エコキュートを設置するメリット
エコキュートの導入には多くのメリットがあります。順番に見てみましょう。
光熱費削減に役立つ
エコキュートは、電気と空気熱エネルギーを利用して効率的に熱を生み出すシステムです。これにより、ガス給湯器に比べて約70%の光熱費削減が可能となります。
また、電力会社の時間帯別プランを利用すれば、電気代の安い深夜電力を使ってさらにコストを削減できるでしょう。
さらに、太陽光発電システムと組み合わせることで、発電した電気をエコキュートに供給し、買電量を減らせます。これにより、エネルギー自給自足を実現し、光熱費を一層削減できるでしょう。
オール電化向けの住宅設備
エコキュートは、オール電化住宅や太陽光発電との相性が非常によいです。ガスを使用しないため、オール電化住宅に対応しています。そして、太陽光発電で得た電力をエコキュートに供給することで、効率的なエネルギー利用が可能です。
また、家庭用蓄電池を併用することで、余剰電力を蓄えておき、夜間や早朝でもエコキュートを利用できます。
これにより、電力使用のピークを避け、効率的なエネルギー管理が実現可能です。
非常時の生活用水として活躍
エコキュートは災害時の水を確保するための貯水タンクとしても利用できます。災害時には生活用水の確保が重要ですが、エコキュートのタンクは大容量であり、4人家族で9日間分の生活用水を確保できます。
常にタンク内に水を貯めておくことで、非常時でもすぐに生活用水としての活用が可能です。
環境負荷軽減につながる
エコキュートは環境に優しい給湯システムです。エコキュートは大気中の空気を集めて冷媒と共に高温まで圧縮し、その熱で水を温めるため、ガスを使用せず電力消費も少なくて済みます。
さらに、エコキュートに使用される冷媒は二酸化炭素であり、フロンなどの温室効果ガスを使用しないため、地球温暖化への影響を最小限に抑えられます。
エコキュートを設置するデメリット
エコキュートの導入時には、メリットだけでなくデメリットについてもよく理解しておきましょう。以下に、エコキュートのデメリットについて詳しく説明します。
お湯切れの心配がある
エコキュートは、貯水タンクのお湯がなくなるとお湯を出せなくなります。急な来客があった場合や予期せぬお湯の使用量増加時には、注意が必要です。とくに、電気代の高い昼間に追加でお湯を沸かすと、余計な電気代がかかってしまいます。
この問題を防ぐためには、家族の構成人数に合ったタンク容量を選ぶことが重要です。たとえば、2〜4人暮らしなら300Lから400L程度、5人以上の家族なら450L以上の容量を検討するのがよいでしょう。
飲み水として使うためには手間がかかる
エコキュートのお湯は、そのままでは飲用に適していません。日本の水道法では、一定量の塩素が残っていることが義務付けられています。
しかし、エコキュートはお湯を沸かす過程で塩素が抜けてしまうため、飲用水として国の基準を満たさない可能性があります。非常時に飲料水を確保しておきたい場合は、長期保存水を備蓄するとよいでしょう。
長期保存水は飲料水として作られており、賞味期限が5〜10年程度と長期間保管できるため、非常時の備蓄に適しています。
騒音問題
エコキュートの動作音は約40デシベルとされていますが、これは図書館内の静けさと同程度です。ただし、ヒートポンプユニットから出る12.5Hzの低周波音は一部の人にとって不快に感じる場合があります。
エコキュートは夜間に稼働するため、寝室付近を避けるなど、設置場所には注意が必要です。
ガス給湯器と比較して水圧が弱い場合もある
エコキュートの水圧は、ガス給湯器と比較して弱い傾向があります。ガス給湯器は水道と同じ圧力でお湯を供給できるため、シャワーなどの水圧が強いのが特徴です。
一方、エコキュートは貯水タンクに水を貯める前に減圧するため、水圧が弱くなることがあります。水圧が重要な場合は、高圧タイプのエコキュートがあるかを施工業者に相談してみましょう。
まとめ
エコキュートの導入は、光熱費の削減や環境保護に大きく寄与します。選ぶ際は、機能性や貯湯タンクの容量、設置スペースの確認が重要です。
エコキュートのメリットとしては、効率的なエネルギー利用、災害時の生活用水の確保、環境負荷の軽減が挙げられます。しかし、お湯切れのリスクや飲用水としての適用に手間がかかる点、騒音や水圧の問題も考慮が必要です。
これらを総合的に検討し、自分たちのライフスタイルに合ったエコキュートを選びましょう。